耳鼻科に行く

ついに観念して耳鼻科に行った。
もう、腸がどうとか、よく噛んで食べるなどという話ではなくなった。ここ数日、鼻づまりで息ができずに夜寝られない。

高梁に来て1年間、鼻の調子は良く、寝るときも鼻呼吸で寝るようになっていた。しかしこの2週間程の鼻炎の急激な悪化によって鼻呼吸ができなくなった。すると、夜寝られないのである。鼻呼吸生活に慣れてしまっており、口呼吸では息苦しくて敵わない。

2日前あたりから、ついに日中も鼻呼吸がしにくくなり、これはいかん。という事になった。
市役所の同僚の1人に聞いて、総社市の耳鼻科に行った。義父さんは足守の耳鼻科に行っており、そこにしようかと思ったが、距離的に総社の方が近いので、どうせ通わないといけないので総社にした。往復換算すると18キロの違いがあったのだ。

以前、長船にいた頃は、行きつけの耳鼻科があった。
ニコリともしない先生だが、腕は良かった。鼻炎が悪化するとそこへ行き、「どうしてここまでほっといたの?」という冷たい視線を浴びながら治療を受けた。
しばらく真面目に通って、先生の対応に日差しのようなやわらかさが出てくる頃に鼻が良くなる。良くなると、通わなくなる。
何ヶ月かして、悪化する。
またその耳鼻科に行って、冷たい視線を浴びる。というのが常であった。

しかし、高梁に来るにあたって、もう、あの先生には頼れない。という決心をした。
高梁で鼻を良くする。そして耳鼻科に行かない。
という、根拠も何もない決意のもと1年間を過ごしたが、ここに来て計画は頓挫した。

僕の鼻の症状は、慢性の副鼻腔炎と思われる。
人間の鼻の周囲には、副鼻腔という空洞がある。何のために副鼻腔があるのかは良く知らない。
鼻の粘膜が何かのアレルギー反応によって炎症を起こすと、この副鼻腔から排出される鼻水が出にくくなり、膿みとなって溜まるのである。これが副鼻腔炎というものだ。と自分なりに解釈している。

副鼻腔炎の原因はよくわからないけど、自分なりのカンによると、僕の場合は、湿度の急な変化や気圧によって鼻の調子が悪くなる。あと、アルコールを摂りすぎたり、疲れが溜まったときも調子が良くない。この鼻の調子が優れない状態に風邪みたいな症状が重なった時に副鼻腔炎が悪化するのではないかと考えている。
今回の症状が悪化する手前で、長男はじめが少しだけ風邪っぽい時があって、夜中に鼻を吸ってやったりした。器具を使って吸引するのだけど、風邪のときの子どもの鼻を吸うと、大抵、風邪をもらう。
ただ、それが毎回副鼻腔炎につながったりしないけど、今回は自分の体調なんかも関わって鼻炎が悪化したのかもしれない。

今回、新たに耳鼻科を開拓するにあたって心配だったのはそこだ。
自分の症状が慢性的な副鼻腔炎であると見抜き、適切な処置をしてくれる先生かどうかということだ。
そんな心配をしなくても大丈夫と思われるかもしれないけど、僕は幼い頃からいくつかの耳鼻科に通っており、けっこう良い思い出が無いのである。

幼い頃行った耳鼻科は怖かった。
いろんな器具を鼻につっこまれては薬を注入されて死にそうだった。鼻くそのほじり過ぎで鼻血が止まらなくなった時は、鼻の血管を焼かれたし、またある耳鼻科では、「鼻づまりの原因は貴様の鼻が曲がっているからだ」と言われて針金のようなものをつっこまれた事さえあって、最終的にその医者が言ったセリフは
「猫を捨てろ」
であった。とんだヤブ医者である。
そんな耳鼻科に二度と通いたくないので、耳鼻科選びは慎重なのだ。

さて、家から1時間かけて総社の耳鼻科に行くと、佇まいが長船の耳鼻科によく似ていた。だからたぶん大丈夫だと思った。
待ち合いの仕組みも同じだし、めちゃくちゃ待つのも同じだった。トイレの位置すら同じだった。あと子どもが多い。めちゃくちゃ待ってて子どもが多い医者は腕が良い。
待つのは苦ではない。時間のつぶし方は心得ているので、持参した文庫本を読んで待った。
初診の時、必ず書く問診票には、細かい項目はほっといて、備考欄に克明な記載をした。
「私はアレルギー性鼻炎であると自覚しており、その治療を長年受けていました。この1年症状がありませんでしたが、2週間前から悪化しました」
という事である。いろんな質問はいいからダイレクトにこの治療だけしてというメッセージのつもりである。

診察室に通されると、まずレントゲンを撮った。
これで間違いなく、この耳鼻科は当たりだ。と確信した。レントゲンを撮るのは、副鼻腔の状態を見るためである。きっとそこには白く曇った副鼻腔の写真が写るはずである。
長船でさんざんやったから知ってるもんね。
問診票に託したメッセージは伝わった。
あとの処置は手に取るように分かる。
まず、鼻腔を通す薬を入れて、ネプライザーである。ネプライザーとは、薬を霧状にして鼻から吸引し、直接副鼻腔を治療する機械だ。たぶん、今はこれが耳鼻科業界ではメジャーな療法なのであろう。針金をブッ刺していたことを思うと、現代医学の進歩には感謝しかない…。
ただ、医者が言ったセリフは
「ちくのうだよ…」
ということだった。要するに副鼻腔炎の悪化したやつのことだ。この治療方法も、もう分かっている。抗生物質で菌を殺し、別の薬で鼻腔の炎症を抑え、さらに別の薬で鼻水や痰の出を良くするのだ。この度は1週間分の薬だけど、1週間後は1ヶ月分の薬を処方されるだろう。

診察が終わると、薬局でいくつもの薬をもらい、帰路についた。
毎回、耳鼻科の帰りはウキウキしている。いやな事が片付いたからだ。そして、自分を苦しめていたものの原因が分かり、解決に向かっていくメドが立ったからだ。

これで、また耳鼻科に通わなくてはならなくなった。
いつか、鼻炎を克服し、薬に頼らない生活をしていきたい。引き続き、お酒はもう少し控えていこう。





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