猫たちはどこへいく

亡き祖母は、生きていたころはいろんなことに挑戦していた。
その1つがインターネットだ。
わからないながらも、メールをしたりニュースを読んだりしていて、最終的に20代の女性のメール友達ができたりしていた。

僕も古くからのブログ友達Sさんがいる。
会ったことは1回もない。しかし毎年毎年カレンダーを買ってくれたり年賀状をくれたりする。
Sさんは80代の男性だ。
今はインスタでお互いをフォローしてやり取りしている。

そんなSさんが、昨年ある注文をくれた。
それはカレンダー展に向けた2つボタンの新作、『五七五帳』だ。
紙の端切れを利用した句帳で、愛子さんのアイデアによるものだ。
縦長の句帳は、和本として仕立てられていて、表紙には猫のイラストが描かれている。
早速の注文に意気揚々と仕立ててSさんに発送した。

後でSさんのインスタで知ったことだが、この句帳はSさんのお兄さんに贈るものだったようだ。
Sさんのお兄さんは90代で、その時点で闘病中であったらしく、快気祝いとして用意されたのが五七五帳だった。

しかし、句帳はお兄さんの手に渡ることなく、Sさんのお兄さんは帰らぬ人となった。
100歳まで生きるつもりであったという。
コロナ禍の影響でSさんは、お兄さんに寄り添うことも、そばで励ますこともできなかった。
楽しみにしていた句帳も渡せず、Sさんと川柳や俳句を詠み合うこともできなかった。

このようなお別れが、たぶん色々な場所でたくさん起きているんだろう。
Sさんの気持ちはSさんにしかわからないから、僕は遠くでひっそりお悔やみを申し上げるしかできない。
猫たちは、僕たちの手元を離れれば、それぞれ旅立って行く。
その行き先を僕たちはすべて知っているわけではない。
僕たちの知らない所で、猫たちはいろんなドラマに触れているのだろう。
句帳となった猫たちも、旅先で1つのお別れに立ち会えたのかな。

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