展示会の風景 その10

僕は知ってる人がいない高校に行きたくて、瀬戸内市内の高校ではなく岡山市内の大安寺高校に進学した。
今では大安寺高校は中高一貫になって、当時のような成績では逆立ちしても合格できない偏差値になったけど、その当時は薄ぼんやりした僕のような男でも入れた。
入学してみると、ほんとに知ってる人がいなくて孤独で焦った。
授業中も誰も頼れず、落ちつかなくて、緊張感からかトイレが近くなって困った。
勉強についていくより、尿意の方が大変だった。

しかしそのうちに友達もできて地獄の尿意から解放されたのだが、この時できた友達には今も世話になっている。
『竹馬の友』という言葉があるけど、本当の友達というのは高校くらいの時にできるもんなのかなと思ったりする。

なぜなら、高校というのは自分の選択と意思によって進学するからだ。
それまでの自動的な義務教育と違って同じような目的で同じような関門をくぐった奴らが集まるわけだから、この時期に出会う友達というのは馬が合いやすいのかもしれない。

僕は最初の就職先で躓いて挫折したけど、その辛い時にも声をかけ続けてくれた友人は、この大安寺高校の同級生である。
もう20年近い付き合いだが、会って話すと気分は高校生そのままである。

今でもよく会うのは地元に残っている2人で東京に行った1人はたまにしか会えない。
岡山にいる僕を含めて3人で毎年お互いの誕生日を祝いあっている。
30歳を過ぎてそれぞれ人生が変わってきたけど、相変わらずこの誕生日イベントは続いている。
そこでする話は20年同じ内容で、同じところで笑いが取れる。

近頃は僕を含めて岡山の3人組でマラソンに挑戦している。
最近はアプリが発達していて、走りながら距離やタイムを計測できるのでモチベーションを保ちやすい。
僕自身、長距離が得意なので楽しんでやっている。
この年末は、3人で年納めのマラソンができるのかな?

そんな大安寺の同級生が展示会に来てくれた。
なんでもその日は「競馬が大変な事になっていた」らしく
カレンダーを買うとさっさと帰ってしまったのだった。

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