展示会の風景

僕は高校の頃から同じ美容院に通い続けている。
名前は『hair studio tu.tu』だ。
高梁に移住した今も髪を切るときは長船に帰ったタイミングでそこに行く。
その当時、長船町には昔ながらの理容院がぽつぽつあるくらいで、美容院というものは全然なかった。美容院て何?美って何?みたいな時代だった。
その後、岡山県内に爆発的に美容院が増え、カフェより多い状態になるのだが、その手前くらいの時にtu.tuはできた。
美容院という単語すら聞き慣れないのに、そこの看板は全て英語で、美容院ではなくhair studioと記載されていた。
田んぼと野鳥しかいない田舎にできたその建物は、長船のどの店より確実におしゃれで町民は近づけずにいたが、そこにいち早く飛び込んだのが母だった。その後、母やいろんな人の口コミで人気が広がり、その美容院は20年以上経った今も繁盛している。

僕はそんな母に、ドラゴンボールのトランクスみたいな髪型にしてって言いなさい。と言われてtu.tuに行かされた。
自分の外見を客観的に観察できない年齢だった僕は、トランクスの髪型が似合うと信じてそこに行ったけど、お店の若いお兄さんはトランクスではない髪型にしてくれた。それ以来、外人の切り抜き写真とかいろいろ持っていって「これにしてくれ」と頼んだけど、お兄さんはいつも違う髪型に整えてくれるのだった。それが僕の髪質とかに一番適した髪型と解ってからはお兄さんにすべてお任せしていて、今では「短め」という2文字でしかオーダーしない。
2回くらいtu.tu以外のお店で髪を切ったけど、ごちゃごちゃした服装で、やたら話しかけられる印象があった。
tu.tuのお兄さんはシンプルなシャツに黒のエプロン。足元も黒の靴で、客より前に出る服装はしない。僕は後々接客とかするようになってそこをお手本にしてきた。
何年も通う内にお兄さんと話すようになって、カメラの話やデザインの話や車などいろんな話をした。僕は就職して何回か転職をしたけど、色んな仕事を経験してだんだんこのお兄さんが凄いなという事に気づいていった。
年末にはいつも店の中のものを出して店内の大掃除から床のワックス掛けまでを1人でやる。どんな観葉植物も一発で枯らせる僕と違って、いくつもの観葉植物をきちんと管理する。ハサミはもちろん、シャンプーやヘアワックスの香りにもこだわって仕入れる。自分の店という自覚と誇りがないとこれはできない。
そもそも店を開業する事自体が大変だし、そこを運営するという事はさらに大変だ。
いまでは奥さんとお姉さんとの3人体制でお店を運営している。相変わらずお店は清潔で整然としている。いつもじっくり髪を洗い、時間をかけて丁寧に髪を切ってくれる。会話の内容は今ではほとんど子どもや子育ての話になった。

髪が整って会計をしに行くと、レジカウンターの壁には『元気のでるカレンダー』が掛かっている。ここだけオシャレな店内から浮いている気がするけど、まぁいいか。

そんなtu.tuの兄さんが今年も原画展に足を運んでくださいました。


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