展示会の風景 10

僕は高梁に来るまで、製本業界に5年いた。
そこで、個人的に一番影響を受けたのが「河上商店」の河上さんだ。

右も左も分からないまま、製本業界に入り、人脈づくりのために青年会に入った。
その中にいたのが河上さんだった。

ほとんどの人が製本という仕事に後ろ向きな中で、河上さんは前向きな人だった。そして、今でもいろんなことに挑戦している。
昔から、会えばいつでも物を教えてくれる人だった。

印刷会社に飛び込み営業したり、製本会社に挨拶回りして、いろんな営業マンや経営者の人に会ったけど、新入りの僕をバカにせず、いつも対等に接してくれて、物を教えてくれたのが河上さんだった。

青年会で、機械の見本市に行ったとき、たまたま河上さんと一緒になって、ついて歩いた。
正直僕は、機械を見ても、それをどうこうするという発想がなく、こんなとこに来て何か意味あるのかなとしか思ってなかった。
たぶん、そんなことは河上さんも分かってたと思うけど、
「この機械は、こういう特徴がある。」
「この機械は昔こうだったけど、今はこうなっている。」
「田渕君の会社なら、こういう機械がもしかしたらいいのかもしれない」
と教えて回ってくれた。
「◯◯会社の◯◯さんは、見本市に来たらすべての機械を見て質問をする。来たからには、機械を買わなかったとしても真剣に機械を見て何か勉強せんといけん」
「◯◯社長は、絶対に言い訳をしない。自分が諦めてしまったらだめだ。」
というようなことを、見本市でも飲み屋でも、移動中の電車とかでも熱く語ってくれた。

付合いも多く、数えきれない人と会ってやり取りをしている中で、同じ青年会というだけで、こうやって教えてくれてありがたかった。

昨年のカレンダー展のとき、思い切って青年会にLINEを送った。
来れない人もいたけど、みんな来てくれた。そして、今年は河上さんも来てくれた。
製本をやっててよかったなと思った。
河上さんはあいかわらず、かっこよかった。


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