朋あり遠方より来る

今年も、この季節が来た。高校の友人3人での生誕祭である。

自分のような、気難しい人間に20年以上も付合ってくれている彼らに感謝である。
わざわざ誕生日のために集まるような友人は彼らしかいない。
この3人の場合、特別なことは必要ない。気兼ねもなく、遠慮もない。
昔は店を予約したりしたけど、近年は岡山イオンの5Fの中庭で祝杯が通例になった。
地下の食料品で惣菜を買い、4Fの独歩でビールを買い、中庭で乾杯。
この簡単さがちょうど良くなった。

今年は、コロナ対策のため、野外で簡素なお祝い。空気の澄んだ山を散策、集合写真、記念品授与。
近況報告などは、歩きながら語り合った。

昨年から、記念品を事前にリクエストするという画期的な方式が導入されたため、記念品についてあれこれ考える手間がなくなり、とても楽になった。
友人Nの昨年10月のリクエストはスマートウォッチだった。
彼が指定したブランドは価格が3万円もするので、心中「ふざけるな」と思い、ネットでそのブランドより安く、機能的にも遜色のない物を購入した。調べてみると、けっこういろんなブランドがあった。
Nはその時計を気に入ったようで、この度の生誕祭でもきちんと装着していた。便利らしい。

友人Sの今年5月のリクエストはプレステ3であった。
ゲームに縁のない自分にはどの辺が「3」なのかよくわからなかったが、ヤフオクによって案外安く落札できた。
ヤフオクを検索すると、おびただしい数の「プレステ3」が出品されていた。いったいどれが良品なのか不明だったが、自分が使うわけではないので、中身が何だろうと関係ないと思って買った。
落札、支払い後に送られてきた代物も、Sに渡すまでは用がないので物置に放っておいた。
Sの生誕祭でそれを渡すと喜んでいたので、間違いのない「プレステ3」だったようだ。
ただし、Sは「プレステ3」でブルーレイが観たいだけという事があとで分かった。だったらブルーレイプレイヤーで良かったじゃねぇか。

そしてこの度の主役である僕がリクエストしたのは、サンダルである。
はっきり言って欲しい物が何もなかったので、豪勢な焼き肉にしてくれと頼んだけど、
「まぁ、そう言わずに何か言いなさい」とSに言われたので
「格好いいサンダルをくれ」と頼んだ。
そうと決まったら、変なサンダルを買われても困るので、ネットで色々と検索をして、一番イメージに合う「TAKEO KIKUCHI」のサンダルをスクリーンショットで送った。
生誕祭当日に送られたのは、そのスクリーンショットそのままの「TAKEO KIKUCHI」だったのでびっくりした。
本当に売ってるんだ…。

20歳の頃、駅地下のTAKEO KIKUCHIでよく服を買っていた。
その時にサンダルを買って、15年くらい履いた。上図の写真と同じような革を編み編みにしたキザなサンダルだった。
夏がくれば馬鹿のようにその「編み編み」を履き、履きつぶし、最後は靴底(サンダル底?)がベロベロにはがれ、ゴミのようになって妻に処分された。
そのサンダルを買ったときの店員のセリフが
「この製法はもうウチしかやっていないんです。」だった。その一言で買ったようなものだ。
「非常に希少な製法なので、わざわざ2足買う人も多いです」
とも言われたが、その手には乗らなかった。

購入してくれたSの話では、今回、上図の「編み編み」を買ったのは、駅地下ではなく百貨店のTAKEO KIKUCHIだったようだ。
そこで店員に言われたセリフが
「この製法はもうウチしかやっていないんです。」だったらしい。
「非常に希少な製法なので、わざわざ2足買う人も多いです」も出たという。

「そうですか。ただ、友人はTAKEO KIKUCHIが好きらしいんですが、僕自身は何の興味もありません」
と言い放ってSはサンダルを購入したという。

20歳の頃から18年の時を越えて、同じ営業トークをかますTAKEO KIKUCHIの伝統に脱帽である。

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